ストーリー
【メインイメージ写真】岡山県の生活介護事業所〈ぬか つくるとこ〉が新たにはじめる、就労継続支援B型事業所〈ひょん〉の内観。木を基調とした室内の中心に白い展示什器が置かれ、ジュース瓶といったドリンク商品など、ここで販売していく品物が並ぶ。左手には壁面に設えられた棚があり、販売物の品名や詳細を記したポップが各段に配置されている。

(カテゴリー)コラム

〇〇はじめました
第2回 「ひょん」なことから——丹正和臣

読了まで約1分

(更新日)2024年06月07日

(この記事について)

全国で福祉や芸術文化に携わる人たちの近況をのぞいてみたい。そして、地域や世代を超えた情報交換と協働のきっかけがつくれたら——そんな想いから、各地で活動する方々の新たな挑戦を、寄稿コラムでお届けする企画「〇〇(まるまる)はじめました」。第2回に登場いただくのは、生活介護事業所〈ぬか つくるとこ〉のアートディレクションを務める丹正和臣(たんじょうかずおみ)さん。2024年5月にグランドオープンを控える、就労継続支援B型事業所〈ひょん〉が目指すことについてつづってもらった。

本文

発酵をテーマに事業をはじめて10年になる。利用者やスタッフ、個々の魅力が「ぬか漬」のようにゆっくりと発酵し、社会へと広がっていくことを願って「ぬか」という名前に想いをのせている。こう話すといかにもな感じがするが(もちろんとても大切にしている考え方なのだが)、ただ「ぬか」という言葉の響きに惹かれたということもある。

柔らかな「ぬ」、歯切れのよい「か」。いいじゃないか。言葉の意味から逸脱して「ぬか」という音を遊んでいくと、どんどん自由になれる。利用者を「ぬかびと」、来客を「まぜびと」、毎年のお祭りを「ぬかよろこび」、オリンピックのパロディとして「ヌカリンピック」など、ほかにもたくさん……。ぬかはダジャレやユーモアが好きなのだ。

そろそろ本題に移ろう。ぬかは、就労継続支援B型事業所〈ひょん〉をはじめていく。簡単に言うと働く場所だ。名前の由来は「ひょんなことから」の「ひょん」。たまたまを大切に、あらゆる境界を飛び越えるようなイメージを重ねている。

仕事は「おむすびや味噌汁」の提供、「食品や本」の販売、「サウナ」などを予定しており、ゆくゆくはぬかびと一人ひとりに合わせた仕事づくりができないかと企んでいる。新聞ちぎりが好きな小池佑弥さんは、イベントでのワークショップが仕事になったこともある。好きなことや、その人らしさが働きにつながるためのチャレンジをしてみたい。ひょんな出来事は思いもよらぬところからやってくる。

「発酵」も「ひょん」も「待つ」ことが共通のテーマだと気がついた。美味しい漬物ができる「そのとき」を、言葉遊びでもしながら気長に待ってみよう。あなたも一緒にどうでしょう。

【写真】メインイメージと同じ写真。木を基調とした室内に展示什器や棚が配置され、それぞれに販売商品が並んでいる。
【写真】展示什器ワインや器、クラフトチョコレートなどの販売商品が並んでいる
〈ひょん〉内観。全国の福祉施設や生産者の商品を扱う

関連人物

丹正和臣(ぬかアートディレクター)

(丹正和臣(ぬかアートディレクター)さんのプロフィール)
1983年奈良県生まれ。生活介護事業所〈ぬか つくるとこ〉の立ち上げメンバーとして2013年より勤務し、コンセプトワーク、デザインワークを担当。2022年度始動の「なんでそんなんプロジェクト」の企画にも関わる。
(丹正和臣(ぬかアートディレクター)さんの関連サイト)