ストーリー
【イラスト】帽子を被った人と眼鏡をかけた人が散歩をしているなかで、黄色い鳥が飛んでいるのを見つけて指を指している

(カテゴリー)コラム

ゲームがつなぐ「あいだ」って?

ゲーム? わたしたちは隣にいる人とどうしたら一緒に遊べるだろう

読了まで約5分

(更新日)2024年02月13日

(この記事について)

ゲームの世界と現実世界、2つの世界をテクノロジーと人がつないでいく。「一緒に遊ぶ、からはじまること――対談NAOYA(ePARA)×なむ(ゲームさんぽ)」にも登場した、ePARA(イーパラ)・加藤大貴さん、ゲームさんぽ・なむさんとの会話を通して見えてきた、ゲームがつなぐ「あいだ」の可能性を考えてみる。

本文

*本記事は「一緒に遊ぶ、からはじまること――対談NAOYA(ePARA)×なむ(ゲームさんぽ)「『AUDIO AR GAME MAKER』でオーディオゲームをつくって遊ぼう!ワークショップ体験記」の2記事とあわせてご覧ください


他者の見ている世界・感覚を楽しむ

さまざまな分野の専門家をゲストに迎え、雑談をしながら多様な視点を共有するゲーム実況「ゲームさんぽ」を覗いてみれば、ほかの人が見ている世界がどれほど違っているかに気づかされる。ますます広がりを見せるゲーム実況は、多様な視点や感覚の違いを楽しむ環境を生み出している。こうした取り組みは他者の感覚に対する理解を促進するだけではなく、現実世界の別の見方を体感する機会ともなりうる。

【イラスト】メインビジュアルと同じイラスト。帽子を被った人と眼鏡をかけた人が散歩をしているなかで、黄色い鳥が飛んでいるのを見つけて指を指している

変わりゆくアクセシビリティ

一緒に遊ぶ、からはじまること――対談NAOYA(ePARA)×なむ(ゲームさんぽ)」の記事で紹介したように、ストリートファイター6ではサウンドアクセシビリティ機能が実装されたほか、PlayStation5では自分の身体に合わせてボタンの付け替えや配置の変更ができる「Access コントローラー」が発売。さまざまな感覚や特性をもつ人がそれぞれに適した環境で、同時にプレイできる世界が実現しつつある。将来的にはゲームの世界で実装されたアクセシビリティ機能が現実社会に応用される可能性もあるだろう。

【イラスト】ヘッドフォンをつけた人がソファーに座ってゲームをしている
【写真】PlayStation5で使用できるSONY製Access コントローラーを、指を曲げた状態で操作している様子。黒い円盤状のデバイスに白いボタンを自分で設定して配置できるようになっている。

Access コントローラー
PlayStation「Access Controller-Accessibility Consultant Stories|PS5」YouTubeより抜粋
©2023 Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved. Design and specifications are subject to change without notice.

学び合い、高め合うコミュニティ

一緒に遊ぶ、からはじまること――対談NAOYA(ePARA)×なむ(ゲームさんぽ)」の記事で紹介したePARAが開催する心眼PARTYや、Discordでの部活からは、ツールを通して離れた場所でも同じゲームを楽しむ風景が見えてくる。そこにはそれぞれの感覚や特性を互いに補い合い、学び合い、高め合う新しい協働のコミュニティが生まれている。

【イラスト】丸い地球の各地に、多様な背景を持った人がいて、ゲームを通して、輪でつながっていることを表現している
【写真】ストリートファイター6のゲーム画面。画面左側にいる、ディージェイというキャラクターを、画面右側にいる、ザンギエフというキャラクターがパンチしている様子が写っている。

提供:ePARA ©CAPCOM
心眼CUPなどのトーナメント前は、Discord上で練習試合を行うePARA所属アスリートのみなさん

デバイスもゲームも自分でつくる

進行性筋ジストロフィー症という難病を抱える格闘ゲーマーの畠山駿也/Jeniさんが試行錯誤の末、顎で操作できるコントローラーを自分で制作する様は、道具を自分でつくる職人のようでもある。ほかにも「『AUDIO AR GAME MAKER』でオーディオゲームをつくって遊ぼう!ワークショップ体験記」のレポートで紹介した「AUDIO AR GAME MAKER」が公開されるなど、メーカーがゲームやデバイスを制作し、ユーザーに提供するという構図もまた書き換えられはじめている。

【イラスト】スマートフォンのようなものを持った人が、隣の人と一緒に画面を見ながら、音楽やボックス、キャラクターや宝箱、旗のようなゲームにまつわる要素に想像を膨らませている
【写真】車椅子に座ったJeniさんが自作したコントローラーを顎で操作している

提供:ePARA 
自作コントローラーを使うJeniさん

名づけられない機能と戦術

機能が充実する一方で、プレイヤー側もまた機能を使いこなし、ゲーム環境に介入している。音響設定やボタン配置、感度設定に至るまで、時にはアクセシビリティとは謳われていない機能でも、プレイヤー自身が自分の感覚や特性に合わせて活用する戦術をプレイしながら身につけていく。

【イラスト】ゲームの設定画面。各ボタンにどのような操作を割り当てるのかを設定する画面が描かれている。