今年で17回目となる横浜能楽堂普及公演「バリアフリー能」は、障害のある人もない人も一緒に能・狂言を楽しんでもらうことを目指しています。2000年の当初より、各障害関係団体からのフィードバックを重ね、また、2011年からは公演終了後に「公演内容向上のための意見交換会」という、障害のある方から直接意見を伺う会を開いています。毎回対象となる障害の種類を変えて実施され、10名ほどの参加者が公演の感想やサポートの改善案など、約1時間にわたって意見交換をします。そういった積み重ねから今年も「介助者1名無料」「解説時手話通訳」「字幕配信用ウエアラブル端末」「副音声」「点字パンフレット」「触れる能面展示」「事前の施設見学会」などのサポートが用意され定着しています。
横浜能楽堂で育まれてきた、より多くの方へのバリアフリーを目指す能・狂言の公演です。
【あらすじ】
狂言「神鳴(かみなり)」
医師が東へ下る途中、雷が鳴り始めます。するとそこへ突然 神鳴が落ちてきました。神鳴は落ちて腰をひどく打ったため、医師に治療を頼みます。医師ははり治療をすすめるが、神鳴は怖がります。医師に説得されると神鳴は治療を受け、すっかり良くなると、天へ上っていくのでした。
能「鉄輪(かなわ)」
男に捨てられた女が貴船神社にお参りに来ると、貴船神社の社人から「『蝋燭を灯した鉄輪を頭にかぶり、丑の刻参りをする女性があれば、望みをかなえましょう』とご神託を受けました」と言われます。女は人違いだと言うが、たちまち女の髪は逆立ち、鬼となるのでした。
その頃、男は夢見が悪いと、安倍晴明に相談に行きます。晴明は人形を作ると祈祷を始めます。そこに鬼となった女が現れ、捨てられた恨みを述べ、その恨みが積もって鬼になったのだ、と言います。そして、杖を振り上げて男を打とうとしますが、晴明の力で勢いが弱まります。弱った鬼は「今日は帰ってやろう」と言うと、姿を消すのでした。
解説 大島輝久 手話・字幕配信付き
狂言「神鳴」(大蔵流、茂山千五郎)
能「 鉄輪」(喜多流、出雲康雅)
【公演内容向上のための意見交換会】
障害のある方から直接意見を伺う会で、毎回公演後に対象となる障害の種類を変えて実施。サポートの改善案や公演の感想など、約1時間にわたって意見を交換します。今年は知的障害者を対象として行います。