手びねりで不思議な陶器を生み出すセラミックレーベル「SHOKKI(ショッキ)」を講師に迎えて2024年3月と4月に鞆の津ミュージアムで行われたワークショップ『SHOKKIの陶芸教室』の参加者がつくり出した陶芸作品の全約350点と、SHOKKIがこれまでに制作した陶器のいくつかがあわせて展示されています。
参加者はそれぞれ粘土を素材に手びねりで自由にかたちをつくり、絵付けや釉薬がけ(あるいは、その完成イメージ画の作成)を自身で体験しました。その工程の後、窯で焼成され完成したものが集まって展示されています。
SHOKKIは2013年に活動を開始。これまで、手びねりによる器やオブジェなどさまざまな一点ものの陶器を制作してきました。まるで「素人」がつくったかのようにも感じられるかたちがSHOKKI作品の大きな特質であるとすれば、それらは一見「誰にでもつくれそう」という意味での普遍性や親しみを宿しています。そんなふうに、どこかで見覚えがあったり、いつかつくったことさえありそうなものなのに、店頭でこの類の器を見かけることはほとんどないのではないでしょうか。崩れ歪み整わないかたちや手ざわりといった「ゆるさ」や「隙」が、均質性や効率を重んじる大量生産時代の商品には求められない肌理(きめ)であることもまたひとつの道理だからです。他方、そのようなノイズに満ちた私たちの「不完全さ」を肯定しつつ換骨奪胎(かんこつだったい)し、見たことのあるような/ないような不思議なものを生み出すのがSHOKKIなのだと言えるかもしれません。
世の中的な〈うまい / へた〉とか〈よい / わるい〉は決定的なものでは全然なく、たえず循環し輪廻するもの。本展には、そんな二項対立の「ものさし」だけでははかり切れない(私たちの分身ともいえる) たくさんの謎のかたちが共存しています。
SHOKKI
SHOKKIは2013年にスタートしたハンドメイドのセラミックレーベル。
「ま、いっか。」くらいの気楽さと自由さで、食器や花瓶、オブジェなど、一点もののプロダクトの企画と制作をします。