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(カテゴリー)展覧会

(ニュースのタイトル)京都国立近代美術館にて、『チョウの軌跡――長谷川三郎のイリュージョン』開催中

(更新日)2023年10月10日

(この記事について)

触図を見て、聴いて、触れることで抽象絵画の新たな鑑賞方法を探るプロジェクト

本文

京都国立近代美術館の「感覚をひらく」事業は、2020年度からは作家(Artist)、視覚障害のある方(Blind)、学芸員(Curator)がそれぞれの専門性や感性を生かして協働し、所蔵作品の新たな鑑賞プログラムを開発する「ABCプロジェクト」に取り組まれています。本展はその第3弾として、長谷川三郎の抽象絵画をテーマに実施されます。

1937年、長谷川三郎は《蝶の軌跡》という抽象絵画を描きました。画面は8の字や楕円、点々や荒い筆致だけで構成されているため、どこにチョウの動いた軌跡が描かれているのか分かりません。ただ、画面のなかで何かが動いていた気配だけが漂ってきます。こうした抽象絵画から受ける目に見えない気配のような感覚は、どのように伝え合うことができるのでしょうか。

長谷川三郎《蝶の軌跡》1937年(京都国立近代美術館蔵)

本プロジェクトでは、中村裕太(A)、安原理恵(B)、松山沙樹(C)の3人が、この作品と同じ大きさのキャンバスの上で、長谷川の筆致をなぞりながら言葉を交わし、図録や美術雑誌などの文献資料を読み合わせ、さらに動物行動学からチョウの飛ぶ道を検証していきました。そして、粘土やロープ、小豆などの素材を組み合わせることで、触れることで想像力が刺激される《蝶の軌跡》の触図*を作り出していきました。

展覧会では、3人の会話や行動をもとに《蝶の軌跡》にまつわる長谷川の思索を推し量りながら制作した14種の触図を展示空間に設えます。会場を巡りながら、触図を見て、聴いて、触れることで抽象絵画の新たな鑑賞方法を探っていきます。

*触図(しょくず)とは、作品の構図や色合いなどを触覚情報に変換・翻案して表した図

〈キャンバスに長谷川三郎の筆致をなぞる〉撮影|表恒匡

〈長谷川三郎にまつわる文献資料を読み合わせる〉撮影|表恒匡

動物行動学からチョウの飛ぶ道をさぐる〉撮影|表恒匡

〈動物行動学からチョウの飛ぶ道をさぐる〉撮影|表恒匡


特設サイト
「ABCコレクション・データベース Vol.3 長谷川三郎《蝶の軌跡》のイリュージョン」

長谷川三郎《蝶の軌跡》を言葉、文献資料、チョウの行動、触図からひも解いたウェブサイト。
※ウェブサイトは10月5日(木)公開予定です

「ABCコレクション・データベース Vol.3 長谷川三郎《蝶の軌跡》のイリュージョン」特設サイト


作家紹介

中村裕太
1983年東京生まれ、京都在住。2011年京都精華大学博士後期課程修了。博士(芸術)。京都精華大学芸術学部准教授。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行なう。近年の展示・プロジェクトに「第17回イスタンブール・ビエンナーレ」(バリン・ハン、2022年)、「眼で聴き、耳で視る|中村裕太が手さぐる河井寬次郎」(京都国立近代美術館、2022年)、「万物資生|中村裕太は、資生堂と  を調合する」(資生堂ギャラリー、2022年)、「ツボ_ノ_ナカ_ハ_ナンダロナ?」(京都国立近代美術館、2020年)、「in number, new world/四海の数」(芦屋市立美術博物館、2019年)。著書に『アウト・オブ・民藝』(共著、誠光社、2019年)。

中村裕太プロフィール詳細

〈《蝶の軌跡》に向かい合って言葉を交わす〉撮影|表恒匡

関連イベント

ギャラリートーク

日程:2023年10月14日(土)
時間:午後4時から午後5時
会場:京都国立近代美術館 4階 コレクション・ギャラリー
ABCのメンバーと本展のデザインチーム(D)が展示のみどころやプロジェクトの裏側を語り合います。

トークセッション

日程:2023年11月5日(日)
時間:午後2時から午後5時
ゲスト:広瀬浩二郎(国立民族学博物館教授)
会場:京都国立近代美術館 4階 コレクション・ギャラリー ならびに 1階 講堂
抽象絵画をどう「さわる」のか、会場で触図に触れながらその意義や可能性について話し合います。


インフォメーション

エデュケーショナル・スタディズ04
チョウの軌跡――長谷川三郎のイリュージョン

  • 会期:2023年10月5日(木)から 12月17日(日)
  • 時間:午前10時から午後6時  ※10月6日、12月15日を除く金曜日は20時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
  • 休館日:月曜日 ※10月9日(月・祝)は開館し10日(火)は休館
  • 会場:京都国立近代美術館 4階 コレクション・ギャラリー内
    (京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26−1)
  • 観覧料:一般430円(220円)、大学生130円(70円)
    ※( )内は20名以上の団体および夜間割引料金(金曜午後6時以降)
    ※高校生以下・18歳未満・65歳以上は無料
    ※心身に障害のある方と付添者1名は無料
    ※母子・父子家庭の世帯員の方は無料

  • 主催:京都国立近代美術館
  • 特別協力:甲南学園長谷川三郎記念ギャラリー
  • 助成:令和5年度文化庁Innovate Museum事業
  • フライヤーデザイン・ウェブサイト制作:Studio Kentaro Nakamura
  • 什器製作:タケダ工作所

会場

[京都国立近代美術館] 日本、京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26−1

京都国立近代美術館
日本、京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26−1