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【イラスト】展覧会のイメージしたイラスト。全体的に淡いピンクと緑でデザインされている。展覧会タイトルが左右にあり、6枚の紙が重なって浮いている、それぞれの紙には出展作家の名前が書かれている。

(カテゴリー)展覧会

(ニュースのタイトル)福島・はじまりの美術館「物語ることも、物語らないことも、物語れないことも」展

(更新日)2023年08月10日

(この記事について)

絵画、立体、刺繍、インスタレーションなど、様々な物語が想起される6組の作家作品を紹介。ワークショップ・公開制作・映画上映会など関連イベントも多数開催。

本文

物語ること

「人生は物語のよう」と言われることがあります。「物語」というと、童話のような空想の世界や歴史上の過去のお話を想像することが多いかもしれません。一方で、「物語る」という行為は、ある人の言葉や表現で、その人にしかできない話を伝えることではないでしょうか。

はじまりの美術館の「はじまり」という言葉には、「ここでいろいろなものや人に出会って、ここから何かはじまるように」という願いが込められています。一度立ち止まり、感じたり想像したり語ったりすることが出来る場所です。これまでの経験や思いを経て、はじまりの美術館で誰かの表現に出合います。なにかを物語ることも、物語らないということも、いま物語ることができないことも、どれも大切に思えるかもしれません。


出展作家

井上 優 (いのうえまさる)

井上優《女の人》2013年

1943年滋賀県生まれ、在住。1999年から〈やまなみ工房〉に所属。彼が本格的に創作活動を始めたのは70歳を迎えた頃だった。何事にもまじめに取り組む彼は、人物や動物、風景等をモチーフに、鉛筆のみで身丈を越えるほどの大きな作品も、一日3時間、約3週間の期間をかけ丁寧に塗り込み完成させる。
主な出展歴に、「国際シンポジウム・知的障がい者の芸術活動の推進及びカーニバル VESSEL 発見号」(2019/九龍観塘/香港)、「アール・ブリュット再考3So Happy やまなみ工房作品展」(2020/徳島県立近代美術館)、アール・ブリュット2022巡回展「かわるかたち」(2022/東京都渋谷公園通りギャラリー)他。

岡部亮佑(おかべりょうすけ)

岡部亮佑《無題》制作年不詳

1993年東京都生まれ、在住。現在、社会福祉法人にじの会所属。幼少より絵を描くことが大好きで、現在も自宅や、所属する福祉施設などで、文字通り、暇さえあれば絵を描いている。紙や印刷物、写真などにボールペンや油性マジック、修正インクなどを使い描かれるイメージは、これまでの人生の中で見てきたものや場面がモチーフとなることが多い。それらを流動的に、重層的に構成したドローイングを多数制作している。
主な受賞歴に「武蔵野アール・ブリュット」(2017)審査員賞受賞、他。主な出展歴に、「忘れようとしても思い出せない」(2019/ボーダレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀)、「2020 パラアートTOKYO 第7回国際交流展」(2020/東京芸術劇場ギャラリー)、「ポコラート全国公募展vol.10」(2022/アーツ千代田3331/東京)他。

鴻池朋子(こうのいけともこ)

鴻池朋子《物語るテーブルランナー》2014年〜

1960年秋田県生まれ、埼玉県在住。アニメーション、絵画、彫刻、絵本、手芸、パフォーマンスなど様々なメディアと、旅と移動による場所や天候を巻き込んだサイトスペシフィックな作品を各地で展開し、人間の文化の原型である狩猟採集の再考、芸術の根源的な問い直しを続けている。
主な受賞歴に、第67回芸術選奨文部科学大臣賞受賞(2016)、第62回毎日芸術賞受賞(2021)。主な個展に、「 根源的暴力」(2016/神奈川県民ホール、群馬県立近代美術館/神奈川、群馬)、「Fur Story」(2018/Leeds Arts University/イギリス)、「ハンターギャザラー」(2016/秋田県立近代美術館)、「ちゅうがえり」(2020/アーティゾン美術館/東京)、「みる誕生」(2022-2024/高松市美術館、静岡県立美術館、青森県立美術館)。主なグループ展に、「瀬戸内国際芸術祭」(2022/大島、香川)、「Story-makers」(2022/シドニー日本文化センター/オーストラリア)他。
主な著書に絵本『みみお』(青幻舎)、『根源的暴力』、『どうぶつのことば』、絵本『焚書World of Wonder』(共に羽鳥書店)など。

ぷるすあるは

ぷるすあるは《気づく・えらぶ・伝える こころとからだコンディションカード》(合同出版)2022年

『ぷるすあるは』は、精神科の看護師、細尾ちあきと、医師で代表の北野陽子が、オリジナル絵本など心理教育ツールの制作・普及のため2012年に立ち上げた「プルスアルハ」を発展させる形で、2015年6月に設立したNPO 法人。精神障害やこころの不調、発達凸凹を抱えた家庭や、さまざまな事情の中で、頑張っている子どもたちを、絵本やウェブサイトなどの情報コンテンツを通して応援している。埼玉県さいたま市を拠点に、「必要だけどこれまでなかった」ツールの企画制作や、さまざまな情報発信を通して、精神保健全般に関する普及啓発活動も行っている。「子ども情報ステーション 」を運営。
主な著書に、『家族のこころの病気を子どもに伝える絵本』シリーズ・『子どもの気持ちを知る絵本』シリーズ(ゆまに書房)、『生きる冒険地図』(学苑社)他。主な受賞歴に、第2回やなせたかし文化賞・大賞受賞(2022)他。主な出展歴に『ぷるすあるは絵画展&高次脳機能障害って?』(2023/ さいたま市高次脳機能障害啓発事業/埼玉) 他。

本田 正(ほんだただし)

本田正《だいこん》2016年

1979年福島県須賀川市生まれ、在住。17歳からサーフィンをはじめ、どっぷりハマル。10代~20代と仕事が長続きせず、社会に適応できない生きづらさと悩みを抱えながら生きていく。その後26歳からアートを始め、「サーフィンとアートどちらも表現」という共通点に気付き、クロスオーバーさせた作品を作りたいと思い制作するが、2011年、海を見たショックでうつ病になる。病院に通院した際に知的障害が見つかり、障害とアートに興味がわく。野菜とくだものの絵をよく描いており、その後農業も始めて、「自分で野菜を作って、作品も野菜を作ったらカッコイイかもしれない」と思いながら制作している。
主な受賞歴に、ポコラート全国公募 vol.7 藤浩志賞受賞(2017/アーツ千代田3331)、第2 回 福島県障がい者芸術作品展きになる⇆ひょうげん 福島県知事賞受賞 (2019/はじまりの美術館)、MHD Artistes Scholarship program(MHD アーティスト奨学金プログラム) 受賞(2022)他。主な個展に、「Viva! Agri-Culture! えだまめとラディッシュ」(2023/(PLACE)by method/東京)。

渡邊のり子(わたなべのりこ)

渡邊のり子《貝山トレッキング》2021年

1988年千葉県生まれ、東京都在住。2011年筑波大学芸術専門学群卒業。2011~2018 年、劇団「百景社」の舞台美術として所属。自身が見たり聞いたり体験した世の中の出来事を世の中ではない別の世界でコラージュのように再構成し、そこから生まれた物語を通して世の中を再解釈する。活動の一貫として、2008年頃からおよそ5cm四方の箱の中に身近な小物を組み合わせて小さな世界を表現した作品を制作し続けており、これまでに作った数は300を超える。
主な出展歴に、「旅のある一日」(2022/あおば荘/東京)、「北アルプス国際芸術祭2020-2021」(2021/大町市内、長野)、「アートビーチくじはま 」(2019/久慈浜海水浴場、茨城)、「豊岡演劇祭2022 フリンジプログラム」(2022/SUVLOG/兵庫)他。


関連イベント

「物語ること展」をめぐる鑑賞ツアー

日時:8月27日(日)、9月24日(日) 各回、午後2時から3時まで
参加費:無料(要展覧会観覧料)
定員:5名程度(先着順) ※予約不要
美術館スタッフと一緒に展覧会を巡ります。じっくり作品を見て、作品や作者がもつ物語について想像しながら語り合います。

寄り合い

日時:8月27日(日)、9月24日(日) 各回、午後3時から4時まで
参加費:無料  ※予約不要
はじまりの美術館で開館前から実施してきた美術館づくりの活動「寄り合い」。茶飲み話をしたり、美術館の広場にビオトープを作ったり、野菜を育てたりする予定です。

常設ワークショップ「自分だけの物語の箱をつくろう」

日時:開館中随時参加可能、予約不要
参加費:1,000円 
出展作家の渡邊のり子さんは、5cm四方の小さな箱の作品を作っています。ワークショップでは自分だけの物語の箱をつくり、完成品はタイトルをつけて美術館の中で展示されます。会期終了後、製作者の元へ送られます。

常設ワークショップ「自分のきもちのカードをつくろう」

日時:開館中随時参加可能、予約不要
参加費:無料 
出展作家のぷるすあるはさんは、イラストと言葉を手がかりに、コミュニケーションを促す「こころとからだコンディションカード」を作っています。展覧会鑑賞後、「白のカード」に自分の今のきもちや状態を書くことができます。

本田正 公開制作

日時:8月11日(金・祝)、9月18日(月・祝) 各日、午後1時から4時まで
参加費:無料 ※予約不要
出展作家の本田正さんによる公開制作が行われます。本田さんは農業に関わるものや食べ物、ご自身が魅力的に感じたモチーフを組み合わせて作品を制作しています。今回はChatGPT(AIチャットサービス)と本田さんの掛け合いを元に、作品を制作予定です。

映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』上映会+トークイベント

日時:8月19日(土)午後5時から7時半まで(本編107分/ 日本語字幕付)
会場:猪苗代町体験交流館「学びいな」(福島県耶麻郡猪苗代町鶴田141-1)
参加費:一般1,800円、障害者手帳をお持ちの方(付き添いの方1名まで)1,200円、小学生以下無料
定員:100名 ※予約優先、座席指定なし
全盲の美術鑑賞者・白鳥建二さんを追ったドキュメンタリー映画上映後、三好大輔監督、川内有緒監督、白鳥さんによるトークイベントが開催されます。トークイベントには手話通訳がつきます。
※UDCast 方式による「音声ガイド」機能及び「日本語字幕」機能をご利用いただけます。ご利用の方はご自身のスマートフォン等にアプリをダウンロードのうえご利用ください。

映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』ロケ地さんぽツアー

日時:8月20日(日)午前9時半から11時まで
ナビゲーター:白鳥建二、川内有緒、三好大輔、はじまりの美術館スタッフ
定員:10名 ※要予約
参加費:1,500円 ※展覧会観覧料込み、昼食代は各自支払い
集合場所:はじまりの美術館
白鳥建二さんが猪苗代町内で歩いた道や通ったお店、滞在スペースなどを歩いて巡りながら、映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』の裏話を伺います。さんぽの最後に、希望者は蕎麦店「こがね」でお昼ごはんを食べます。雨天時は傘をさしながらさ
んぽします。

映画『道草』上映会

日時:9月16日(土)午後1時から3時、午後5時から7時(本編95分/バリアフリー字幕付)
会場:こどものひろばプリモ(福島県耶麻郡猪苗代町千代田前田甲311-1)
参加費:1,500円(小学生以下無料)
定員:25名  ※要予約、座席指定なし
知的障害を抱えながら、介助付きでひとり暮らしをする若者たちの日常を見つめたドキュメンタリー映画。出展作家の岡部亮佑さんも出演しています。上映後、参加者同士で感想を語り合います。

映画『14歳の栞』上映会

日時:9月23日(土・祝)午後1時から3時半、午後5時から7時半(本編120 分)
会場:こどものひろばプリモ(福島県耶麻郡猪苗代町千代田前田甲311-1)
参加費:1,500円(小学生以下無料)
定員:25名 ※要予約、座席指定なし
とある中学校の2年6組にカメラを据え、その3学期を完全密着するドキュメンタリー映画。クラスの生徒35人にカメラが向けられ、それぞれの物語が丁寧に語られます。上映後、参加者同士で感想を語り合います。

要予約のイベントに参加ご希望の方は電話(0242-62-3454)またはメール(otoiawase@hajimari-ac.com)にて、はじまりの美術館までお申し込みください。


インフォメーション

物語ることも、物語らないことも、物語れないことも

会期:2023年7月29日(土)– 10月9日(月・祝) 
時間:午前10時から午後6時まで 
休館日:火曜日、8月19日は午後4時閉館
料金:一般 500円/65歳以上250円/高校生以下・障害者手帳をお持ちの方および付添いの方(1名まで) 無料
会場:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)

主催:社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館
協力:株式会社ゆまに書房、合同出版株式会社、社会福祉法人にじの会、社会福祉法人やまなみ会やまなみ工房、NPO 法人ぷるすあるは、物語るテーブルランナー制作者のみなさん
後援:福島県、福島県教育委員会、猪苗代町、猪苗代町教育委員会、あさかホスピタルグループ

お問合せ:はじまりの美術館
電話:0242-62-3454 
ファックス:0242-23-8185 
メール:otoiawase@hajimari-ac.com
※お客さまのマスク着用は任意となります。なお、イベントなどお客様同士が密接する場面ではマスク着用の協力要請をいたします。また、お客さまの検温・手指消毒は継続してご協力をお願いいたします。

はじまりの美術館ウェブサイト

会場

[はじまりの美術館] 日本福島県耶麻郡猪苗代町新町4873 はじまりの美術館

はじまりの美術館
日本福島県耶麻郡猪苗代町新町4873 はじまりの美術館