「あいまいな あわいの まにまに」
このタイトルを聞いて、どんなイメージが浮かぶでしょうか。
「あいまい」という言葉には不確かさを感じるかもしれません。「あわい」という言葉はかすむような「淡い」であったり、「物と物の間」という意味もあります。そして、「まにまに」も「間に間に」と、間をあらわしそうです。
本展は「境界」をテーマに、その間にあるものを共に考えていくことが、テーマになっています。わかる/わからない、正しい/正しくない、支援する/される、大人/子ども、性別、あなたとわたしなど。世の中にはさまざまな境界がありますが、実はその境界はだれかが作ったものであったりします。実際はその境界のまわりにはさまざまなグラデーションがあり、単純に線が引けないものがたくさんあるのではないでしょうか?
そのグラデーションを「あいまいな あわい」とし、その間にあるものを見た方が考えることができる作家が紹介されます。本展では、たくさんの方が「あいまいな あわい」を意識し、それをさらに受け入れることで、さまざまな人が生きやすい社会につながっていくことが願われています。
出展作家
青野文昭(あおのふみあき)
1968年宮城県仙台市出身、在住。1992年国立大学法人宮城教育大学大学院美術教育科修了。2005年宮城県芸術選奨(彫刻)。2013年ヴァーモントスタジオセンターフェローシップ。2015年Vermont Studio Center Fellowships for Artists and Writers アメリカ・VSC。公益信託タカシマヤ文化基金・第26回タカシマヤ美術賞受賞。1991年頃より「修復・なおすこと」をテーマとして、様々な試みを行っている。主な個展に、「青野文昭 ものの, ねむり, 越路山, こえ」(2019年、せんだいメディアテーク、宮城)、「どこから来てどこへ向かうのか」(2022年、上野の森美術館ギャラリー、東京)、他多数
國久真有(くにひさまゆ)
1983年大阪府出身、在住。2003年University of the Arts London Central Saint Martins Art and Design Foundation course 修了。2015年 神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科芸術工学専攻博士後期課程満期退学。近年は、人体を軸にし腕のストロークと遠心力を利用し描く手法を利用した 「WIT-WIT シリーズ」という絵画を制作している。主な受賞歴に2019年「第22 回岡本太郎現代芸術賞」特別賞、2022年「咲くやこの花賞(美術部門)」受賞など。主な個展に「國久真有―絵画を生きる」展―現代絵画・線と光をめぐる身体の冒険― (2022年、西脇市岡之山美術館、兵庫)、「THE BUTTERFLY DREAM」(2022年、SOKYO ATSUMI、京都)、他多数。
時吉あきな(ときよしあきな)
1994年大阪府生まれ、東京都在住。2016年京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業。2018年「1_WALL」グラフィック部門グランプリ受賞個展「ナンバーワン」(2018年、ガーディアン・ガーデン、東京)をはじめ、ワークショップ「ハム☆スター 美術館で〇〇中!?」(2020年、東京都現代美術館、東京)、「気になる中華料理店」(2021年、WHITEHOUSE「ナオ ナカムラ」、東京)などを開催。スマートフォンで撮影した対象の写真をコピー用紙に出力し、原寸大の立体コラージュとして再現。平面の写真を強制的に立体にすることで、リアルとフェイクを行き来しながら、不自然な歪みや独特の表情を持つ複製物を制作している。
西野 克(にしのまさる)
1991年生まれ、埼玉県出身・在住。2015年より、社会福祉法人みぬま福祉会 川口太陽の家所属。西野は幼い頃に視力を失ったため、覚えたてのことばを発することも止めてしまった。ゆっくり摺り足のように歩き、指先や手の甲でそっと物に触れて存在を確認。舌で舐めながら移動し、手に触れたものを噛んで砕いてみたり、噛んで作った破片を耳の中に入れ刺激。空間を把握するために探検をし、様々なものを噛んで砕いて回っていた。彼が通ったあとにはことごとく変形したものが残されている。主な出展歴に、「ここから4 ー障害・表現・共生を考える5日間展」(2019年、国立新美術館、東京)、他多数。
林 勇気(はやしゆうき)
1976年京都府生まれ、兵庫県在住。映像作家。膨大な量の写真をコンピューターに取り込み、切り抜き重ね合わせることでアニメーションを制作。自ら撮影した写真のほか、人々から提供された写真やインタビューを素材とした制作により、デジタル・メディアやインターネットを介して行われる現代的なコミュニケーションや記憶のあり方を問い直す。 近年は他領域とのコラボレーションや、ワークショップを通しての作品制作も多数試み、映像が内包する拡張性や協働的な側面について模索している。主な個展に、「君はいつだって世界の入り口を探していた」(2021年、クリエイティブセンター大阪、大阪)、他多数。
砂連尾 理(じゃれおおさむ)+山形ビエンナーレ2022「まちのおくゆき」
「まちのおくゆき」は、多様性の受容・調和などをテーマに、2020年より山形ビエンナーレ(主催:東北芸術工科大学)で展開しているプロジェクト。(キュレーション/プログラムディレクション:アイハラケンジ)2022年の同芸術祭では、砂連尾 理(ダンサー/振付家)を招聘し、障害のある人や様々な理由で生きづらさを抱える人などを含んだ、あらゆる市民がダンスパフォーマンスをはじめとした様々な協働を進め、異なる身体や感覚を持つ人々同士が他者について想像する活動を重ねていくプログラムを展開した。(共同企画:やまがたアートサポートセンターら・ら・ら)
与那覇 俊(よなはしゅん)
1979年沖縄県出身、在住。茨城大学入学直後、キャンパスに流れるフォルクローレの調べに心が震え、音楽に没頭。1999年から1年間、ボリビアへわたり音楽を学ぶ。帰国後、精神疾患を発症。2013年より知人の作品に影響され、絵を描きはじめる。主な受賞歴に2013年「こころの芸術・文化フェスティバル2013」最優秀賞受賞、2016年「ポコラート展VOL.6」中村政人賞受賞、2018年「第21回 岡本太郎現代芸術賞」入選、2022年「第25回 岡本太郎現代芸術賞」入選、他多数。
関連イベント
映画『エチュード』上映会&車座トーク
山形ビエンナーレ2022「まちのおくゆき」プロジェクトで実施した市民参加型ダンスワークショップ「さわる/ふれる」の記録映画の上映会を開催します。障害のある人、ダンス未経験者、分身ロボットらがともに関わりながらダンスを生み出していく時間をとらえたサイレント映画です。上映後は音のない映画を観た体験について、対話します。
日時:2023年 6月3日 (土) 17:00-19:30(映画本編 80分)
参加費:1,000円(観覧料込)
定員:20名(要予約)
砂連尾 理ワークショップ「さわる/ふれるをかんじる」
山形ビエンナーレ2022「まちのおくゆき」プロジェクトで実施された市民参加型ダンスワークショップ「さわる/ふれる」の演出家である砂連尾 理さんとのワークショップです。舞台活動だけでなく、高齢者や障害のある方と共にさまざまなダンス作品を手がけてきた砂連尾 理さんと一緒にからだを動かし対話します。
日時:2023年6月4日(日)13:00-15:0
講師:砂連尾 理(振付家・ダンサー)
参加費:500円(観覧料込)
定員:15名(要予約)
ギャラリートーク
美術館スタッフと一緒に「まにまに展」を巡ります。企画担当者の解説を聞きながら、じっくり作品を見つつ、作品や企画について一緒に考えます。
日時:2023年6月11日(日)14:00 – 14:3
参加費:無料(要観覧料)
寄り合い
はじまりの美術館で開館前から実施してきた「寄り合い」。誰かと出会ったり、なにか一緒に作業したり、ここからプロジェクトが生まれるかもしれません。
日時:2023年6月11日(日)15:00-16:00
参加費:無料
時吉あきなワークショップ「ハム☆スター はじまりの美術館で〇〇中!?」
出展作家である時吉あきなさんを講師に迎え実施するワークショップです。時吉さんの制作手法でハムスターを制作し、ハムスターの目線を借りて写真を撮影します。
日時:2023年6月24日(土)13:00-17:00
講師:時吉あきな(美術家・本展出展作家)
参加費:3,000円
定員:6名(要予約) ※小学5年生以下の方は保護者の方とご参加ください
開館9周年記念! ちいさな“はじまるしぇ” &猪苗代町民無料デー
開館9周年を祝って、2日間ちいさなマルシェを開催されます。猪苗代町民の方は両日とも無料で企画展をご覧いただけます。
日時:2023年6月17日(土)、18日(日)10:00-15:00
※要予約のイベントに参加ご希望の方は電話(0242-62-3454)またはメール(otoiawase@hajimari-ac.com)で、はじまりの美術館までお申し込みください。
ご予約時に下記の項目をお知らせください。
1、お名前(よみがな)
2、当日のご連絡先
3、参加人数(お子様が参加される場合は年齢)