フィリピンの路上を舞台に、そこで暮らす盲目のギター弾きと子どもたちを描く物語で、人々に温かな感動をもたらす映画『ブランカとギター弾き』(原題:BLANKA)。日本人監督・長谷井宏紀 のもとに多様な国からスタッフが集結して作り上げられた作品です。本作は世界各国で数多くの映画賞を受賞しました。なかでも、「ヴェネツィア国際映画祭2015」では、マジックランタン賞(注1)とソッリーゾ・ディベルソ賞(注2)の2冠を達成。そんな話題作が、東京・銀座を皮切りに日本全国で公開されます。
(注1)映画祭の全作品が対象の、若者から贈られる賞。過去受賞作はチャン・イーモウ監督『あの子を探して』、ダーレン・アロノフスキー監督『レスラー』など。
(注2)ジャーナリストから贈られる、外国語映画賞。
ストーリー:孤児の少女ブランカはいわゆる「ストリートチルドレン」、路上でスリや盗みをして暮らしています。大人が子どもを買うように、“お母さんをお金で買う”こともできるはずと、必死でお金を貯めるブランカ。ある日、路上で出会ったピーターという盲目のギター弾きと一緒に旅に出ることになります。やがて歌が上手なブランカは、ピーターの奏でるギターとともに歌ってお金を稼ぐように。一方で、同じような境遇のストリートチルドレン仲間と、悪さをしてお金を得ようともします。お母さんを買うことを夢見ていたブランカが、旅の終わりに得たものとは……。
本作が長編映画監督デビューとなる長谷井宏紀監督は岡山県出身、世界中を旅しながら短編映画の制作や写真家として活躍してきました。2009年に制作した短編映画『GODOG』が旧ユーゴの巨匠エミール・クストリッツァ監督(『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』)に見出され、クストリッツァ監督が主催するセルビアKustendorf International Film and Music Festivalにてグランプリ(金の卵賞)を受賞。以降、活動の拠点をセルビアに移し、ヨーロッパとフィリピンを中心に活動。現在は東京を拠点に活動中です。
この映画は「キャスティングが7割を占めている」と長谷井監督は言います。盲目のギタリストのピーター役を演じたピーター・ミラリは実際に視覚障害者であり、孤児として育ち、マニラの路上でギターを弾いていました。ピーターと出会いその姿に惚れ込んだ監督が、彼のことを思いながら『ブランカとギター弾き』の脚本を書き、映画に出てもらうために1ヶ月半もかけて探し出したそうです。
ブランカを演じたサイデル・ガブテロはYouTubeで歌う姿を本作のプロデューサーに見出され、作中でも瑞々しい歌声、物怖じしない堂々とした存在感と豊かな表現力を披露 しています。
その他のメインとなるキャストも、監督自らがマニラのスラム街の路上を歩き回って探し出した、そこに暮らす子どもたちが出演しています。
「ストリートチルドレン」、「貧困」という深刻な問題を抱えつつも、色鮮やかなマニラの路上を駆け回り、精一杯生きる彼らの姿には、決して悲壮感だけではない逞しさと美しさが映し出されています。20代の頃からフィリピンの路上で生きるストリートチルドレンの子どもたちと関わり、彼らを見つめてきた長谷井監督だからこそ描ける景色と愛情がつまった作品です。
*作品の詳細や劇場情報は公式サイトよりご確認ください。
映画『ブランカとギター弾き』
http://www.transformer.co.jp/m/blanka/index.html
*本作には音声ガイド付き上映もございます。UDcastというスマートフォンやタブレットなどの携帯端末に専用アプリをダウンロードして、イヤホンを使って完全同期された音声ガイドを聞くことができます。
http://udcast.net
【作品情報】
7月29日(土)よりシネスイッチ銀座他にて全国順次公開
監督・脚本:長谷井宏紀
製作:フラミニオ・ザドラ(ファティ・アキン監督『ソウル・キッチン』)、アルベルト・ファニーニ
制作:アヴァ・ヤップ
撮影:大西健之
編集:ベン・トレンティーノ
助監督:マリネット・ルハンサ
音楽:アスカ・マツミヤ(スパイク・ジョーンズ監督『アイム・ヒア』)、アルベルト・ボフ、フランシス・デヴェラ
美術:ミミ・サンソンヴィオラ
衣装:アーミィ・クシェラ
録音:マーク・ロキシン
プロダクション・マネージャー:ウェンガイ・コンセプション
出演:サイデル・ガブテロ、ピーター・ミラリ、ジョマル・ビスヨ、レイモンド、カマチョ
2015年/イタリア/タガログ語/77分/カラー/5.1ch/DCP
原題:BLANKA/日本語字幕:ブレインウッズ/後援:イタリア文化会館
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