「Echo こだま返る風景」は、国内外のアール・ブリュットの動向において、長く活躍を続ける作家と、近年発表の場を広げつつある作家を、さまざまな角度から紹介する展覧会シリーズ「アール・ブリュット ゼン&ナウ」の2回目にあたります。
今回の展覧会では、街の風景を独自のまなざしで再構築する作家たちが紹介されます。
街の表現の間で、近景と遠景、自己と他者、作家と鑑賞者の世界がこだまし合います。
出展作家
磯野貴之(いそのたかゆき)
1997年、富山県生まれ。分厚く重量感のあるドローイングブックには、延べ4万2千本の電柱とそれらを一つにつなぐ無数の電線が描きこまれている。軽やかな描線と余白の対比によって静謐(せいひつ)な世界が広がっている。主な展示に、「日本のアール・ブリュットKOMOREBI展」(フランス国立現代芸術センター リュー・ユニック[フランス、ナント]、2017年)などがある。
古久保憲満(こくぼのりみつ)
1995年、滋賀県生まれ。小学生の頃より、近未来を思わせる都市風景を緻密に描きつづけている。記憶やインターネット上に氾濫するイメージを再編成し、密度のある描きこみを繰り返す。そこには、作者が構築した唯一無二の世界がある。「人間の才能 生みだすことと生きること」(滋賀県立美術館、2022年)のほか、国内外の美術館での展示歴と収蔵作品がある。
後藤拓也(ごとうたくや)
1987年、宮崎県生まれ。日向市にある「風舎とみたか」にて制作を行う。2013年頃から家を模したカラフルな立体作品を制作している。骨格から外壁、屋根にいたるまで紙を独自の技法で組み上げ、有機的でしなやかな建築物をつくり出す。主な展示に、「宮崎アーティストファイル『ギフト展』」(高鍋町美術館、2021年)などがある。
佐藤慶吾(さとうけいご)
1983年、千葉県生まれ。成田市にある「生活工房」にて制作を行う。カラーペンを使い、一視点の構図によって、細長い建物群を反復して描いている。単色やモザイク、グリッドといったさまざまな描き方を駆使し、ここではない遠く離れた場所を思わせる幻想的な眺めを生みだしている。主な展示に、「いえとまちのかたち」展(もうひとつの美術館、2014年)などがある。
辻勇二(つじゆうじ)[辻の字は2点しんにょう]
1977年、愛知県生まれ。どこか既視感のある架空の街なみを黒い水性ペンのみで緻密に描く。上空から俯瞰する構図と迷いのない筆跡によって、屋根瓦や道路、線路などが立体的に浮き立つ。その景色は、独特なゆらぎと躍動感に満ちている。出展歴として、「アール・ブリュット ジャポネ展」(アル・サン・ピエール、2010-11年)など国内外で多数ある。
横溝さやか(よこみぞさやか)
1986年、神奈川県生まれ。平塚市にある「嬉々!!CREATIVE」に所属している。人間や動物、キャラクターといったさまざまな登場人物が街中に闊歩(かっぽ)する祝祭的で賑やかな風景を描く。創作した絵と物語をいくつもの声色によって演じる紙芝居の公演も行う。主な展示に、「ここから2-障害・感覚・共生を考える8日間」(国立新美術館、2018年)などがある。
ゲストを招いたトークイベントやギャラリートークが予定されております。詳細は、東京都渋谷公園通りギャラリー公式サイトにて、ご確認ください。