生後、すぐに脳死に近い状態と宣告された帆花ちゃん。常に見守りが必要な帆花ちゃんとの生活は誰にでもできることではないですが、母親の理佐さん、父親の秀勝さんの2人にとってはあたりまえで、普通のこと。いろんな場所に出かけていき、絵本を読み聞かせ、お風呂に入れ、吸引をする……ありふれた日常の中で積み重なり、育まれていくもの。動かなくても、言葉を発しなくても、ふれあうことで通じあい、満ちていくもの。帆花ちゃんを愛しむ両親の姿から伝わる、我が子と一緒にいられる幸せ。
本作は、帆花ちゃん、理佐さん、秀勝さんの家族の時間に寄り添ったドキュメンタリー映画です。
2011年、映画学校の学生だった國友勇吾監督は理佐さんの著書「長期脳死の愛娘とのバラ色在宅生活 ほのさんのいのちを知って」と出合い、理佐さんの講演会に出向き、その場で企画書を手渡ししたことで、映画の制作が決まりました。國友監督は、帆花ちゃんの手の柔らかさとぬくもりの、生を実感して心が震えたといいます。
それから3年、3歳だった帆花ちゃんが小学校に入学するまでの間、國友監督は家族のすぐそばで、言葉にならずとも、カメラに映らずとも、ひとが生きていく上で大切なものを丁寧にみつめ続けました。