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(カテゴリー)展覧会

(ニュースのタイトル)滋賀・ボーダレス・アートミュージアムNO-MAで展覧会『79億の他人 ――この星に住む、すべての「わたし」へ』

(更新日)2021年10月08日

(この記事について)

コミュニティ、年齢、国籍、家族、障害など、さまざまな角度から、「わたしらしさ」を考える

本文

2021年現在、世界人口は約79億人。めいめいの身体、人種、性、思考、社会的立場…。79億通りに枝分かれする個性は、わたしを唯一無二のわたしとして同定すると同時に、わたしとそれ以外の人間とを分断してもいます。本展は、12組の出展者による表現を通して、人と人との間の差異、あるいはその差異の上でいかなるコミュニケーションが編まれるかを照射する展覧会です。滋賀県・近江八幡市内の2つの会場で開催しています。


Living with Others めいめいのひとびと

会場・ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

【出展作家】

北野謙
東京都出身 東京都在住 1968年生まれ
自己と他者の存在、自己と社会の関係について思考するプロジェクトを行い、作品を制作している。世界各地の様々な文化や立場の集団を訪ねて撮影し、数十人の肖像を暗室で多重露光して一枚の写真に焼きつけた「our face」などのシリーズがある。

田辺慶大
滋賀県出身 滋賀県在住 1999年生まれ
代表的なシリーズの一つに《天使のほほえみ》がある。これは、地域広報誌の、1歳児を顔写真付きで紹介する同名のコーナーに由来する制作で、彼は、ここに掲載された実在の1歳児を網羅的に描いてきた。

八幡亜樹
東京都出身 大阪府在住 1985年生まれ
映像インスタレーションを、「『人類の表現=生きること』のための思考装置」と捉え、取材をベースとした作品制作を行なっている。本展で展示する映像作品《Kahlek2017》は、ミクロネシア連邦のピンゲラップ環礁にある、ピンゲラップ島民にクローズアップした映像である。島民は250人ほどいる。この島では、世界的にも大変珍しい高確率で1色覚(全色盲)、つまり、世界が白黒に見える人が生まれる。

金仁淑
大阪府出身 東京都在住 1978年生まれ
大阪に生まれた金は、2003年に韓国へ渡り、以降、ソウルと東京を拠点に国内外の展覧会に参加している。在日・在独コリアンの家族や朝鮮学校、街のコミュニティの人々とプロジェクトを行い、いくつもの文化の狭間に生きる人々のアイデンティティ、伝統、民族、家族の問題を浮き彫りにする作品を発表してきた。

?方ゑいとヒジカタクミ
ゑい:愛知県出身 愛知県にて活動 1914年生まれ2016年没
クミ:愛知県出身 東京都在住 1976年生まれ
大正生まれの?方ゑいは、82歳になってから絵を描き始めた。ヒジカタクミはイラストレーターとして活動している。クミはゑいの孫である。老境にあって、奔放な絵を描きだしたゑいに、クミは感銘を受けた。そして、自らのイラストとゑいの絵を組み合わせたコラボレーション作品を発表したり、2人展の開催を実現した。

≪our face≫
近江高校野球部員42人を重ねた肖像2002年9月12日
滋賀県彦根市近江高等学校グランド

≪いろんな兄弟ならべてみたよ≫ 2015

≪Kahlek 2017≫ 2017

金仁淑≪The Real Wedding Ceremony≫ 2016

ゑいとクミ
(K.Art Studio で 2011年10月に撮影)


All Possible Communications あなたと、わたしの、あいだ

会場・まちや倶楽部

【出展作家】

五十嵐英之倉地雅徳
五十嵐:京都府出身 京都府在住 1964年生まれ
倉地:京都府出身 岡山県在住 1979年生まれ
1994年から、「相互描画法」と名付けられた二人の描き合いが始まった。きっかけとなる絵を五十嵐が描き、それを見た倉地が選んだ紙の上に自分の絵として展開させ、またそれに反応して五十嵐が描いていく絵のセッションを30年近く続けている。

intext
2011頃結成
intextは、外山央、真下武久、見増勇介によるグループである。言語、文字、書法、印刷、読書、色など、デザイン・プロセスに伴う一定の様式をユニークな視点で捉えなおし、そこから生まれる新たなコミュニケーションの可能性を基軸に展開を続ける。

重症心身障害者通所施設えがお
池内亮介後藤大輔清水希鈴木彩華廣部敬倖
滋賀県長浜市にある、重症心身障害者通所施設えがおで行なわれている創作活動。この活動には同施設の利用者5人が参加している。活動に携わる支援者は、5人それぞれの得意なこと、関心のあること、または身体可動域などを鑑み、画材や描画方法を模索し、各参加者の活動につなげている。

佐々木卓也
東京都出身 東京都在住 1975年生まれ
本展では、粘土で作られた女性のシリーズを展示する。すべての女性像が、折り曲げた左手でまっすぐに伸ばした右ひじの内側に触れる、または右ひじの内側に唇を当てるという独特の姿勢を保持している。母によれば、「小さい頃、自分もよくそうしていたから彼にとってその部分(右ひじの内側)は心の安らぐ大切な場所」であるそうだ。

武田憲昌
広島県出身 広島県在住 1970年生まれ
1990年代中頃より、自身が暮らしている福祉施設で働く支援者のうち、気になる数名にまつわるものを集め始める。また、それら好きな支援者とその家族に関する情報を、当の支援者や自身の母らにお願いして書いてもらったメモ紙も保存。その膨大な集積の中から選んだ紙や収集物の一部をセロテープや輪ゴムで束ねてかたまりをつくり、大切に持っていた。この収集の営みは現在も続いている。

藤本正人
愛知県出身 愛知県在住 1967年生まれ
藤本正人は、カセットテープの入ったケースに、20cmほどの長さの刺し子糸を輪ゴムで留めた、振り子のようなもの(以下、「振り子」と呼ぶ)をつまみ持ち、くるくると回る様子を眺めながら、1日を過ごしている。黙々と振り子を見つめ続ける、そんな生活を40年に渡って続けてきた。

みんなの“鑑賞”
誰もがアートを楽しめるように、美術鑑賞の方法を、知的障害のある人や盲ろう者が、アーティストらと一緒に考えるプログラム。

①障害者支援事業所いきいき+野原健司と考える。
プロジェクトメンバー:河原﨑未識外山聖野原健司森美菜子安田真一郎

②しが盲ろう者友の会の人たちと考える。
プロジェクトメンバー岡田昌也岡本克司北川雅貴野中美智子安川雄基

交叉・対面型・相互描画法によるドローイング
「倉地雅徳×五十嵐英之 Live with Drawing ——人はなぜ『絵』を描き続けるのか」
2015(藁工ミュージアム)展示風景より

≪dimensional wall≫ 2018
Photo: intext

鈴木彩華 無題 2020

ゆみかちゃん 2001

無題 制作年不詳

『Negative capability -くつろいでいられる能力-』2019より ?「ポコラート全国公募展 vol.9」
主催:千代田区、アーツ千代田3331


インフォメーション

79億の他人 ――この星に住む、すべての「わたし」へ 

  • 会期:2021年9月18日(土)〜11月21日(日)
  • 開館時間:11:00-17:00
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
  • 会場:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県近江八幡市永原町上16)、まちや俱楽部(滋賀県近江八幡市仲屋町中21)
  • 観覧料:共通券500円(450円)、一館300円(250円)
    *中学生以下無料、障害のある方と付添者1名無料、( )内は20名以上の団体料金
  • 無料開館日:関西文化の日11月13日(土)、14日(日)

  • 主催:社会福祉法人グロー(GLOW)~生きることが光になる~
  • 後援:滋賀県、滋賀県教育委員会、近江八幡市、近江八幡市教育委員会
  • 協力:社会福祉法人さふらん会、社会福祉法人創樹会、社会福祉法人びわこ学園、MEM

 

お問い合わせ
ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

会場

[ボーダレスアートミュージアム NO-MA] 滋賀県近江八幡市永原町上16

ボーダレスアートミュージアム NO-MA
滋賀県近江八幡市永原町上16

[まちや俱楽部] 日本、滋賀県近江八幡市仲屋町中21

まちや俱楽部
日本、滋賀県近江八幡市仲屋町中21