『ブロークン・ウィング』(2002)、『僕の心の奥の文法』(2010)で、東京国際映画祭東京グランプリを史上初の2度受賞したイスラエル出身のニル・ベルグマン監督の最新作映画『旅立つ息子へ』が、3月26日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開します。
【あらすじ】
アハロン(シャイ・アヴィヴィ)はひとり息子のウリ(ノアム・インベル)と2人、田舎町でのんびりと暮らしている。自閉症スペクトラムを抱える息子は、体は大人でも中身はまだまだ子供。こだわりが強くて世話は焼けるけれど、純粋無垢な息子と過ごす日々は、アハロンにとってはかけがえのない幸せの時間であり、生きる喜びだった。
しかし、別居中の妻、タマラ(スマダル・ヴォルフマン)は、過保護な夫に大反対。ウリの自立をサポートするために、全寮制の特別支援施設への入所手続きを進めている。裁判所も、定収入のないアハロンを養育不適合と判断し、とんとん拍子に入所の日取りが決定した。売れっ子のグラフィックデザイナーを引退して子育てに専念する彼にとって、ウリと離れるのは生き甲斐を失うこと。ウリだって父の愛なしに生きていけないはずだと信じているが、裁判所の決定には逆らえない。アハロンは喪失感を呑み込んで、息子を施設へ連れていった。
突然の別れに戸惑ったのはウリも同じだった。
父は決意した。息子は自分が守り抜く。父と息子は、金もあてもない旅に出るのだった。
旅の中でアハロンは、気づかぬ間に成長しているウリに衝撃を受ける。しかしその後アハロンの弟、アミールを訪ねた時に、ウリはトラブルを起こしてしまう。親の力だけではウリの成長に対処できない。決定的な事実を目の当たりにして、アハロンの心は砕け散った。2人の逃避行のゆくえはどうなるのか。