知的に障害のある現代アーティストたちのアートスタジオ〈アトリエ インカーブ〉代表の今中博之氏の初著書『観点変更─なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか』が11年を経て文庫化しました。アトリエ インカーブでは、作品をカテゴライズすることなく、「現代に生きるアーティストが作るアート」=「現代アート」として発表してきました。世界的評価の高いアーティストを輩出したアトリエは何のために、いかにして誕生したのか? 今中氏は「たくさんの人に出会い、学びの機会をえた。そして、捨てられ、捨ててきた。残ったのは、デザインと社会福祉と仏教だった」と語ります。奇跡の出会いと運命、必然が交錯した20年の物語を、新たに書き下ろした「今」の活動や想いと共に収録した一冊です。
目次
文庫版のための「はじめに」
単行本版「はじめに」
第一章「一〇〇万人に一人」の、私は何者か
第二章「デザイン」とは何か
第三章「アカデミズム」の呪縛が解ける
第四章 なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか
第五章 バイアスを解く
第六章 現代美術の超新星たち
第七章 アトリエ インカーブの展開
第八章「インカーブのようなところ」をつくる
第九章 社会性のある企て
単行本版「あとがき」
文庫版のための「補論」
文庫版のための「あとがき」
解説 静かでおだやかなこの物語を紡いでゆく 神谷梢