知的財産権(知財)を活用してアートを世の中に発信する全員協力型のゲーム「知財でポン!」ができました。多くの人にとってむずかしく、どこから手をつけていいかわからない、敷居の高いイメージのある法律や契約、権利など、法の問題を、ゲームをとおして、参加者同士の配慮や協力を大切に、楽しみつつ、知的財産権について直感的に学ぶことができます。
カードゲーム「知財でポン!」は、自分や他者の表現を社会に発信するときに必要な考え方や、どうしたらうまく表現をまもりつつ広めることができるかを学べます。
アート活動や商品開発の現場では、さまざまな表現や技術、手法が生み出されます。知的財産権はそれらの固有の魅力や価値を守る重要な権利であり、アーティストやクリエイター、企業、中間支援者など、さまざまな立場の人に関わるものです。しかし、その内容や保護方法は多様かつ複雑。だからこそ、知的財産権と表現がどのように関係しているのかを、ゲームを通じて、身近な感覚で学ぶことができたらという想いでつくられました。互いのものづくりを尊重し、理解を深めるきっかけとなるゲームです。
開発したのは、一般財団法人 たんぽぽの家。たんぽぽの家では、カードゲーム「知財でポン!」や知的財産権学習ハンドブックを用いて、「知的学習について学びあう研修」や「障害のある人のアートと著作権に関する研修」を行なっています。
<主な対象者>
表現の発信やものづくりにかかわるどんな人にも。
・大学や専門学校でアートやデザインを学ぶ人に。
・知財をテーマにした学校教育や企業研修を考えている人に・知財創造教育(注)に関心がある人に。
・障害のある人の表現を社会に発信していきたい人に。
・ファブスペースの運営に関わる人に。
・民芸品や伝統工芸品のメーカーではたらく人に。
詳細はこちらから:https://tanpoponoye.org/news/general/2019/11/51239220/
(注)知財創造教育とは、内閣府等が推進する施策のひとつで、「新しい創造をする(「いいな」を思い描き実現する)こと」「創造されたものを尊重する(他人との違いを認め尊重する)こと」 を楽しみながら理解させ育むことにより、社会を豊かにしていこうとするものです。発達の段階に応じた系統的な知財教育の推進、小中高等学校及び高等専門学校における知財創造教育の全国的な普及が目指され、文部科学省の学習指導要領と関連付ける作業も行われています。
【カードゲーム「知財でポン!」の開発経緯】
このゲームのプロトタイプは、「知的財産活用にむけた人材育成のための調査と学習プログラムの開発」(平成30年度近畿経済産業局補助事業)の一環として製作しました。そして今年度、「文化庁令和元年度障害者による文化芸術活動推進事業」を受託し、「知財でポン!」をより広く普及するために改訂のうえ増刷し、販売を開始しました。開発経緯等の詳細については、「知財でポン!」オフィシャルページにまとめられています。https://chizai.goodjobcenter.com/
ゲームのデザインには、障害のあるアーティストの表現を社会に発信する「エイブルアート・カンパニー」の登録作品を使用しています。企業やクリエイターとコラボして作品を商品化したり、デザインとして使える仕組みをつくることで、障害のある人のアートを仕事につなげています。現在、全国の113 人のアーティストが登録し、約13,000 点の作品がウェブサイトで公開されています。