より地域に根差した精神医療を行い、楽しみながら社会復帰や社会参加を目指す若宮病院(山形市)のリハビリテーションプログラムの活動で生まれた、ロールモザイク画の作品展です。プログラムの参加者による下絵を元に、模造紙を筒状に巻いて顔料で染めた「ピース」を1作品約10万個使い、繊細なグラデーションで、情緒豊かな、あたたかい風景を表現しています。制作には約20名が関わり、コツコツと根気強い積み重ねから生まれる表現です。
本展に出品する作品を制作したWAKAMIYA ALGは、若宮病院(精神科)のアルコール依存症グループです。
アルコール依存症の入院治療者、リカバリー者、途上者の集団であり、リハビリテーションプログラムとして週2回活動しロールモザイク画を制作している。ロールモザイク画とは、2㎝×4㎝の短冊に切った模造紙を筒状に巻いて顔料で染めた「ピース」を縦に貼り付けて描いたものである。オリジナル作品は6作。一つの作品を完成させるまで少なくとも10カ月を要します。入院者とともに、退院後も生活の維持、リカバリーの証として通って打ち込んでいる多くは60代の方たちが活動の中心となって制作しました。代表作の「千歳山」は山形市の象徴であり、緑が多かったころを思い浮かべ、メンバーが風景画の案を決め制作したものです。
困難を抱えながらも前向きに、作品制作に関わることで自己表現やコミュニケーションにつながり、表現や芸術が生きる支えになり生活を豊かにしていく可能性を感じていただければと思います。
ギャラリートーク&ワークショップ:「表現が生きる支えになる可能性/ロールモザイク画を体験してみよう」
日時:2019年6月30日(日)14:00-15:30
表現や芸術が生きる支えになり生活を豊かにしていく可能性があります。表現療法としてロールモザイク画に取り組むWAKAMIYA ALGサポーターの渡邉幸二さんと作業療法士の田中忍さんを招いてロールモザイク画の制作方法、展示作品についての背景や想いなどについてお話をお聞きします。その後、実際にロールモザイク画の制作を体験します。
ゲスト:渡邉幸二 (WAKAMIYA ALGサポーター)、田中忍 (作業療法士)
渡邉幸二(WAKAMIYA ALGサポーター)
作業療法で体験したロールモザイク制作に協力したいと退院後もグループに参加。信頼を寄せる医師との診察室での会話などから山形の風景を作品にする試みを始める。思い出の風景などのスケッチを下絵に、着色に顔料絵具を使用するなど独自のアイデアを活かし制作している。メンバーとともに積み重ねる姿勢をもち続け、さまざまな風景を作り出している。