日本では、今年4月1日、改正出入国管理法が施行され、労働力不足が深刻な14業種で就労を認める新たな在留資格「特定技能」を導入し、5年間で最大約34万5千人の外国人受け入れを見込むことになりました。
問題は多々残されていますが、とにかく、今後日本社会は大きく変わっていくことになります。国際的な企業活動や外国人観光客の活況といった次元を超え、隣に暮らす隣人として、国籍や習慣、言語、宗教が違う人々と、ともに生きてゆく時代が到来しようとしています。
「未来のかけらラボ」はこれまで、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)のセンター長・芹沢高志をモデレーターに、身近に散らばる多様な未来のかけら、つまり可能性の芽を拾い集め、草の根的に自分たちの未来を思い描くような取り組みを行ってきました。Vol.14となる今回は、ご自身も国内外各地の多文化状況に暮らし、いまは東京で「イミグレーション・ミュージアム」の活動を展開するアーティストの岩井成昭さんをお迎えし、ご自身の経験を語っていただくとともに、文化の面から、来るべき多文化共生社会の姿について考えていきます。
講師:岩井成昭
美術家・秋田公立美術大学教授
国内外の特定地域における環境やコミュニティーの調査をもとに多様なメディアで作品を発表する。1990 年代という早い時期から多文化状況をテーマにおき、 2011 年からはプロジェクトベースの「イミグレーション・ミュージアム・東京」を主宰。その⼀方で、拠点を秋田におき、秋田公立美術大学の大学院「複合芸術研究科」の新設に参与したほか、同地で「辺境芸術」を標榜するなど、さまざまな活動を並行して進めている。
モデレーター:芹沢高志
デザイン・クリエイティブセンター神戸 センター長
1951年東京生まれ。89年に P3 art and environment を開設。99年までは東長寺境内地下の講堂をベースに、その後は場所を特定せずに、さまざまなアート、環境関係のプロジェクトを展開している。アサヒ・アート・フェスティバル事務局長(03~16 年)、横浜トリエンナーレ2005キュレーター、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」総合ディレクター(09年、12年、15年)、さいたまトリエンナーレ2016ディレクター。