2018年11月30日より、スイス・ローザンヌのアール・ブリュット・コレクションにて展覧会「ART BRUT FROM JAPAN,ANOTHER LOOK」が開催されています。これは、日本で活躍する24人の独創的な創作者の作品により、日本のアール・ブリュットの「いま」を紹介する展覧会です。2008年に同館にて紹介されて以来、日本のアール・ブリュット作品は、世界のアートシーンから熱い注目を集めています。
本書『日本のアール・ブリュット もうひとつの眼差し』はこの展覧会の開催に合わせて、日本語版の図録として出版されました。絵画、ドローイング、陶芸、ミクストメディアのオブジェなど、24名の多彩な表現の幅広い作品図版が多数掲載されており、各人の創作の背景を知ることもできます。日本のアール・ブリュットの現在を概観できる書籍です。
【掲載作家】
戸次公明/土井宏之/蛇目/井村ももか/稲田萌子/鎌江一美/小林一緒/桑原敏郎/ミルカ/三浦明菜/モンマ/西村一成/西岡弘治/野本竜士/岡元俊雄/大倉史子/柴田鋭一/ストレンジナイト/杉浦 篤/竹中克佳/田村拓也/植野康幸/山﨑菜那/横山明子
【執筆者】
エドワード・M・ゴメズ
本展キュレーター、美術批評家、美術史家、アウトサイダー・アートの雑誌『ロービジョン』のシニア・エディター、アール・ブリュット・コレクションの諮問委員会会員。批評家として、『ニューヨーク・タイムズ』『アート+オークション』『アートニューズ』『アート・イン・アメリカ』『ハイパーアレジック』『ブルックリン・レイル』『ジャパン・タイムズ』など多数の新聞雑誌に寄稿。著作に、Genqui Numata (Franklin Furnace Archive), Yes: Yoko Ono (Abrams), The Art of Adolf Wölfli: St. Adolf—Giant—Creation (American Folk Art Museum/Princeton University Press), Hans Krüsi (Iconofolio/Outsiders) など。また2017年に、クリス・シールズとの共同製作による映画Valton Tyler: Flesh Is Fictionが公開された。
サラ・ロンバルディ
アール・ブリュット・コレクション館長
美術史家。2013年3月よりアール・ブリュット・コレクションの館長を務める。収蔵品に焦点を当てた展示に力を注ぎ、同館の収蔵品で構成される美術館主催のビエンナーレ「アール・ブリュット」の開催に合わせArt Brut, the Collection.(『アール・ブリュット:収蔵品から』)と題された新シリーズの小冊子の刊行を続ける。アール・ブリュット関連の書籍監修、論文など多数。
服部 正(はっとりただし)
甲南大学文学部准教授
兵庫県生まれ。兵庫県立美術館、横尾忠則現代美術館学芸員を経て、2013年より現職。アウトサイダー・アートやアール・ブリュット、障害者の創作活動などについて研究を行う。「アール・ブリュット・コレクション」「abcdコレクション」「アドルフ・ヴェルフリ財団」などの関連機関との協力のもと、さまざまな展覧会を企画。2017年には、アール・ブリュットの代表的創作者ヴェルフリの日本初となる大規模な回顧展「アドルフ・ヴェルフリ―二萬五千頁の王国」を企画。著書に、『アウトサイダー・アート』(光文社新書、2003年)、『山下清と昭和の美術』(共著、名古屋大学出版会、2014年)、『障がいのある人の創作活動』(編著、あいり出版、2016年)、『アドルフ・ヴェルフリ―二萬五千頁の王国』(監修、国書刊行会、2017年)など。